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大谷石について

大谷石の歴史

成因

約2000万年前、新生代第3紀中新生の前半、日本列島が一部分を除き大半が海中にある時代に、流紋岩質の火山の爆発により噴出した、火山灰や軽石を含んだ火山灰質の物質が海水中に堆積し凝固した岩石。

分布

栃木県宇都宮市大谷町を中心に分布。市の中心より北西約7キロの地域に東西に2キロ南北に4キロにわたり、薄緑色の凝灰岩として地上の所々に露出しているが、採掘区域は東西に約3キロ、南北に約6キロに及ぶ。地下分布は東西に約8キロ、南北に37キロにわたり、地下約200〜300メートルの深さまであり、埋蔵量は約10億トンと推定されます。西は多気山の中腹から東は市街地を流れる田川の川底に確認されていることから、西から東へ約10度傾斜しています。また、北は徳次郎地区の日光街道、南は小山市内の思川鉄橋の橋桁部分に確認されています。上層部は厚みが30メートルで石材として優良、中層部は厚みが200メートルで現在もっとも採掘されている層、下層部は100メートルあり風化の進度が早く石材としての価値はありません。

成分

石基は多量の浮石質ガラス、斜長石、石英と少量の黒雲母角閃岩輝石で構成されています。大谷石の中に含まれる褐色の『みそ』とよばれる部分は、含水量の多い沸石およびモンモリロナイトの粘土鉱物からなる少量の蛋白石鉄塩鉱物などの不純物。比重は約1,98。

珪酸       66、96%
第二酸化鉄     1,85%
酸化アルミニウム 12,55%
酸化マンガン    0,06%
石灰        1,92%
酸化マグネシウム  0,47%
カリ        2,35%
ソーダ       2,87%
加熱減量(水分) 11,02%

特徴

@高耐火性・高耐震性
A軟質岩石のため高加工性
B他石材に比べて軽量
C高情緒性

歴史

大谷石は古墳時代から様々な用途に供されてきました。フランク・ロイド・ライト設計による帝国ホテルなど国内有数の建築物件に使用され、大正12年の関東大震災においてはその耐震・耐火の性能が証明されました。戦後復興の需要増大期には、採掘の機械化に伴って供給量も増加され、販路の拡大を続けてきました。この20年は外国産の安価な天然石材や人造石などが市場に出回るようになり、大谷石の需要は減少してきましたが、最近では大谷石独特の“風合い” や“気品”が再び見直され、徐々に需要も拡大しつつあります。

工法

昭和30年代から薄板を漆喰などで貼り付けて室内装飾用として利用されてきました。現在は高性能の接着剤やモルタル混和剤により、他の石材と同様の工法で施工が可能になりました。また、風化防止剤などにより大谷石の弱点である風化進度も期的に改善されています。

比較表

大谷石積み工事における標準施工要領

■宇都宮石材協同組合は大谷石の産地として地産地消を推進するとともに、適切な施工方法を明示し、これを広く普及させることを目的として、本要領書を作成する。
■本施工要領書は大谷石石積み工事に適用する。
■現場状況やその他の要因により本書の適用が困難な場合は最も適切な施工方法を検討協議し、施工するものとする。

共通事項

・積石は五十材(300*150*900mm内外)を基本寸法とする。
・笠石は五六材(150*180*900mm内外)及び五七材(150*210*900mm内外)を基本寸法とする。
・軟弱地盤などの充分な支持力が得られない状況の場合は地盤改良や基礎形状の検討を講ずる。
・花壇や植栽帯及び高さが1メートル以内のものを除き土留め材としては原則使用しない。
・必要場合は構造上満足できる工法や製品を用い、出来る限り表面化粧材として使用する。

柾積み工法

・仕上がり高は最大2メートル以内とし1.2メートルを越える場合には5.4メートル毎に控えを設ける。
・モルタル据付工法で石材を固定し、ズレ防止挿し筋(異形D10mm以上L450mm内外)を併用する。下地コンクリート製布基礎に900mmピッチで挿し筋をして石材のジョイント部分もしくは中央胴中部分の補強鉄筋用穴に通し石材のズレ防止を図る。(参考図―1・2)補強用鉄筋孔は雨水などの流入による鉄筋の腐食に対する保護措置として、孔中にはモルタルを充填する。笠石の孔は石材下部から1/3程度の高さまでとし、モルタルを充填して密封する。

柾積み参考図

平積み工法

・意匠的な門柱や石塀及び土圧の大きくかかる土留め積みなどでは石材の接着面が広く確保される平積み工法を用いる。
・仕上がり高は最大2メートル以内とし石塀などの工事延長の長い場合で総高1.2メートルを越える場合には適寸で控えを設ける。
・モルタル据付工法で石材を固定し、ズレ防止挿し筋(異形D10mm以上L450mm内外)を併用する。下地コンクリート製布基礎に900mmピッチで挿し筋をして石材のジョイント部分もしくは中央胴中部分の補強鉄筋用穴に通し石材のズレ防止を図る。(参考図―3・4)補強用鉄筋孔は雨水などの流入による鉄筋の腐食に対する保護措置として、孔中にはモルタルを充填する。笠石の孔は石材下部から1/3程度の高さまでとし、モルタルを充填して密封する。

平積み参考図

施工事例